top of page

プロジェクト 06

薄羽集魚灯
(うすばねしゅうぎょとう )
■プロローグ
薄羽島 。北海道の北部、稚内市の西方11 k mの日本海上にまたの名を、「霙の浮島」と呼ばれる孤島がある。
薄羽島の海は氷点下へと至る過酷な環境であり、天候と海流の流れが不安定に豹変することから安易に人が近寄ることのできない危険な区域となっていた。
されど漁師であった島の漁師は、口を揃えてこう嘯く。
「うら若き乙女たちの魂の灯が、今でも薄羽島の海を漂い続け、多くの高価な魚を誘き寄せる」と。誰が呼んだか、薄羽集魚灯。
そうしてある日 、一 人の若者が 小さな船を走らせた。
その船は 真 夜中の星空に照らされ 、どこか不気味なほど燦然と煌めいていた。